腫瘍抗原とは癌免疫応答において
最も基本的な概念です。
癌では遺伝子の変異が蓄積することにより
正常細胞より恒常的・増強して発現するようになったり
正常細胞には発現がないものを発現するようになったりする
抗原のことを腫瘍抗原といいます。
歴史的には1991年にヒト癌抗原が単離されたことが始まりで
(Science. 1991 Dec 13;254(5038):1643-7.)
1997年にSEREX法が開発されてから
(Proc Natl Acad Sci U S A . 1995 Dec 5;92(25):11810-3.)
次々と腫瘍抗原が同定されていきました。
腫瘍抗原は以下のように分類されています。
■分類
腫瘍関連抗原
一部の正常組織にも発現するが癌組織ではより恒常的・増強して発現する抗原
組織特異的分化抗原
癌組織とその癌の由来の臓器に飲み発現する抗原
メラノーマのgp100、チロシナーゼタンパク質
過剰発現タンパク質抗原
癌細胞で正常組織より発現量が増加している
HER2
腫瘍特異的抗原
正常細胞には発現がない
癌精巣抗原(CT抗原)
MAGE
NY-ESO-1
※精巣はMHCを発現していないため免疫応答は惹起しない
ネオアンチゲン
この腫瘍抗原自体をペプチドワクチンとして
単に投与するということでは
不十分であると認識されるようになったのですが、
Nat Med . 2004 Sep;10(9):909-15.
以下のような改良を入れつつ
まだまだ開発が続いているそうです。
長鎖ペプチドを用いる
短鎖だとMHC class Iに乗るため免疫寛容が誘導されうるから
ネオアンチゲンを用いる
免疫チェックポイント阻害薬との併用
CTLを誘導する
免疫チェックポイント阻害薬にしても
腫瘍抗原を認識するT細胞などを活性化する
つまり細胞性免疫を活性化する治療法になりますので、
まずは腫瘍抗原について知っておきましょう。
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posted by いしたん at 06:58
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呼吸器
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