特発性炎症性筋疾患 とはで記載したような
免疫が関与する筋炎、筋症を診断する上で
最初の入り口として使われることが多いです。
ということでまずは分類基準を知ってください。
EULAR/ACR分類基準2017(Ann Rheum Dis . 2017 Dec;76(12):1955-1964.)
適応
症状や徴候をよりよく説明できる疾患がない場合
内容
疾患に関連すると思われる最初の症状の発症年齢
18歳以上40歳未満:1.3(生検なし)、1.5(生検あり)
40歳以上:2.1(生検なし)、2.2(生検あり)
筋力低下
進行性の上肢近位筋の客観的な対称性筋力低下:0.7(生検なし)、0.7(生検あり)
進行性の下肢近位筋の客観的な対称性筋力低下:0.8(生検なし)、0.5(生検あり)
頸部伸筋より頸部屈筋が相対的に低下:1.9(生検なし)、1.6(生検あり)
下肢で遠位筋より近位筋が相対的に低下:0.9(生検なし)、1.2(生検あり)
皮膚症状
ヘリオトロープ疹:3.1(生検なし)、3.2(生検あり)
ゴットロン丘疹:2.1(生検なし)、2.7(生検あり)
ゴットロン徴候:3.3(生検なし)、3.7(生検あり)
臨床症状
嚥下障害または食道運動障害:0.7(生検なし)、0.6(生検あり)
検査所見
抗Jo-1抗体陽性:3.9(生検なし)、3.8(生検あり)
血清CK、LDH、AST、ALTなどの正常上限以上の上昇:1.3(生検なし)、1.4(生検あり)
筋生検
筋線維内には侵入しない筋繊維周囲の単核球の浸潤:-(生検なし)、1.7(生検あり)
筋周囲あるいは血管周囲の単核球の浸潤:-(生検なし)、1.2(生検あり)
筋束周辺部の萎縮:-(生検なし)、1.9(生検あり)
縁取り空胞:-(生検なし)、3.1(生検あり)
判断
definite IIM(確率90%以上)
筋生検なしで7.5以上
筋生検ありで8.7以上
probable IIM(確率55%以上)
筋生検なしで5.5以上
筋生検ありで6.7以上
possible IIM(確率50%以上55%未満)
筋生検なしで5.3以上5.5未満
筋生検ありで6.5以上6.7未満
その後
definite IIM、probable IIM
初発症状が18歳以上
皮膚症状なし
手指屈筋力低下 or 治療反応性が乏しい臨床的特徴 or 筋生検で縁取り空胞
→封入体筋炎
手指屈筋力低下、治療反応性が乏しい臨床的特徴、筋生検で縁取り空胞はいずれもない
→多発性筋炎 or 免疫介在性壊死性ミオパチー
皮膚症状あり
筋力低下症状あり
→皮膚筋炎
筋力低下症状なし
→無筋症性皮膚筋炎
初発症状が18歳未満
皮膚症状あり
若年性皮膚筋炎
皮膚症状なし
若年性皮膚筋炎以外の若年性筋炎
計算はかなり面倒なのですが、
計算用アプリがあるので使ってみるのも手です。
http://www.imm.ki.se/biostatistics/calculators/iim/jp.html
このIIMの分類基準には色々な問題点があります。
例えばMRIや筋電図が基準の項目になっていないとか、
抗Jo-1抗体以外の筋炎特異的自己抗体
(Myositis Specific Autoantibodies、MSAs)が入っていないとか。
今後改訂されていくとは思いますが、
現状で一度は評価する必要がある基準だと思います。
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