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2025年05月31日

特発性炎症性筋疾患 分類基準

特発性炎症性筋疾患(IIM)の分類基準は
特発性炎症性筋疾患 とはで記載したような
免疫が関与する筋炎、筋症を診断する上で
最初の入り口として使われることが多いです。

ということでまずは分類基準を知ってください。

 EULAR/ACR分類基準2017(Ann Rheum Dis . 2017 Dec;76(12):1955-1964.)
  適応
   症状や徴候をよりよく説明できる疾患がない場合
  内容
   疾患に関連すると思われる最初の症状の発症年齢
    18歳以上40歳未満:1.3(生検なし)、1.5(生検あり)
    40歳以上:2.1(生検なし)、2.2(生検あり)
   筋力低下
    進行性の上肢近位筋の客観的な対称性筋力低下:0.7(生検なし)、0.7(生検あり)
    進行性の下肢近位筋の客観的な対称性筋力低下:0.8(生検なし)、0.5(生検あり)
    頸部伸筋より頸部屈筋が相対的に低下:1.9(生検なし)、1.6(生検あり)
    下肢で遠位筋より近位筋が相対的に低下:0.9(生検なし)、1.2(生検あり)
   皮膚症状
    ヘリオトロープ疹:3.1(生検なし)、3.2(生検あり)
    ゴットロン丘疹:2.1(生検なし)、2.7(生検あり)
    ゴットロン徴候:3.3(生検なし)、3.7(生検あり)
   臨床症状
    嚥下障害または食道運動障害:0.7(生検なし)、0.6(生検あり)
   検査所見
    抗Jo-1抗体陽性:3.9(生検なし)、3.8(生検あり)
    血清CK、LDH、AST、ALTなどの正常上限以上の上昇:1.3(生検なし)、1.4(生検あり)
   筋生検
    筋線維内には侵入しない筋繊維周囲の単核球の浸潤:-(生検なし)、1.7(生検あり)
    筋周囲あるいは血管周囲の単核球の浸潤:-(生検なし)、1.2(生検あり)
    筋束周辺部の萎縮:-(生検なし)、1.9(生検あり)
    縁取り空胞:-(生検なし)、3.1(生検あり)
  判断
   definite IIM(確率90%以上)
    筋生検なしで7.5以上
    筋生検ありで8.7以上
   probable IIM(確率55%以上)
    筋生検なしで5.5以上
    筋生検ありで6.7以上
   possible IIM(確率50%以上55%未満)
    筋生検なしで5.3以上5.5未満
    筋生検ありで6.5以上6.7未満
  その後
   definite IIM、probable IIM
    初発症状が18歳以上
     皮膚症状なし
      手指屈筋力低下 or 治療反応性が乏しい臨床的特徴 or 筋生検で縁取り空胞
       →封入体筋炎
      手指屈筋力低下、治療反応性が乏しい臨床的特徴、筋生検で縁取り空胞はいずれもない
       →多発性筋炎 or 免疫介在性壊死性ミオパチー
     皮膚症状あり
      筋力低下症状あり
       →皮膚筋炎
      筋力低下症状なし
       →無筋症性皮膚筋炎
    初発症状が18歳未満
     皮膚症状あり
      若年性皮膚筋炎
     皮膚症状なし
      若年性皮膚筋炎以外の若年性筋炎

計算はかなり面倒なのですが、
計算用アプリがあるので使ってみるのも手です。
http://www.imm.ki.se/biostatistics/calculators/iim/jp.html

このIIMの分類基準には色々な問題点があります。
例えばMRIや筋電図が基準の項目になっていないとか、
抗Jo-1抗体以外の筋炎特異的自己抗体
(Myositis Specific Autoantibodies、MSAs)が入っていないとか。

今後改訂されていくとは思いますが、
現状で一度は評価する必要がある基準だと思います。

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posted by いしたん at 19:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 膠原病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年05月18日

LICATS

LICATS(Local immune effector cell-associated toxicity syndrome)とは
自己免疫疾患に対する抗CD19 CAR-T細胞療法の
特有の副作用として提唱されたものです。
Lancet Rheumatol. 2025 Apr 30:S2665-9913(25)00091-8.

CD19標的CAR-T細胞療法はB細胞系の血液悪性腫瘍に対して、
開発が進み実用化が進んでいるのですが、
近年では膠原病や神経疾患など
他の領域への応用が進んでいます。
疾患が異なれば特有の副作用がないかということは
非常に注目されています。

この研究は自己免疫疾患患者におけるCAR-T細胞療法に
特有の局所的な臓器反応(副作用)を
明らかにすることを目的とした前向き観察研究です。

P
 ドイツの2施設
 自己免疫疾患患者(年齢不問、追跡30日以上)

I
 CAR-T療法

C

O
 CAR-T投与後の反応
  発生部位
  発症時期
  持続期間
  重症度(Grade 1〜4)

結果
 2021年3月〜2024年10月の間に
 39人(SLE 20人、強皮症13人、炎症性筋疾患6人)がCAR-T療法を受けました

 ※ドイツでは製薬企業ではなく
  研究目的で大学で製造された製剤が使用されているそうです。

 LICATSの発生頻度
  30人(77%)に計54件
  ※かなり多いですね。。。

 LICATSの時期、期間
  治療後10日(IQR 9–21)
   全例がB細胞欠如期
  持続期間は11日(5–14)

 症状
  過去に病変があった臓器に限局

 重症度
  軽症:自然軽快または短期間のステロイド投与で改善
   Grade 1: 65%
   Grade 2: 30%
  重症例
   Grade 3:3件のみ→いずれも後遺症なく回復

LICATSは自己免疫疾患患者に特有の
新しい局所的副作用で、
再燃とは異なる一過性の炎症反応です。

CAR-Tによる組織内の免疫細胞の急速な除去に伴う反応が原因と考えられ、
一般的に軽度かつ自然軽快するため、
過剰な免疫抑制治療の再導入は不要とされています。

この報告を受けて膠原病患者さんで
例えば、心臓、肺、脳など
死に直結しうる臓器病変を抱えている患者さんは
非常に注意が必要だと考えました。

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ラベル:LICATS CAR-T 膠原病
posted by いしたん at 07:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 膠原病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年05月17日

A-Cube

A-Cubeというサービスは
自己免疫疾患、膠原病の診断を
大きく変えるものだと思います。

原理としては非乾燥の抗原タンパク質が
プレートの上に乗せられています(アレイ)。
そこに血清を少量ふりかけます。
自己抗体が存在する場合は抗体が抗原と結合します(一次反応)。
その後、蛍光標識抗体を反応させ(二次反応)、
抗体を検出します。

上記だけ聞けば例えばEUROLINE検査と
特に変わりがないと思うのではないでしょうか?

A-Cubeの重要な点は一度の検査で
同時に多種類の自己抗体を検出できるということです。

例えば全身性強皮症に関連する33抗原、
皮膚筋炎・多発性筋炎に関連する47抗原、
合わせて67抗原に対する自己抗体の検出が可能です。

つまり保険が適応される自己抗体検査を超える
多くの抗体を確認できます。
それが日本発というのも個人的には嬉しいです。

偽陽性が多いのではないかという
感想も聞かれることがあるので注意です。

今はまだ研究用検査ですが、
体外診断用医薬品の開発戦略としては
研究データが揃っていって今後は
保険収載を目指すのではないでしょうか?

また世界にも羽ばたいて世界標準をとってほしいです。
楽しみです。

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ラベル:a-cube 筋炎 強皮症
posted by いしたん at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 膠原病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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