封入体筋炎(Inclusion body myositis、IBM)とは
細胞質内の縁取り空胞(rimmed vacuole、RV)が
筋にみられることが特徴の筋炎です。
特発性炎症性筋疾患の一つに分類されます。
1971年に疾患概念が提唱されましたが、
疾患概念(診断基準)が確立するまでは
非常に時間がかかりました。
ただ今ではしっかりした診断基準が
提唱されています。
ヨーロッパではENMCの診断基準2011が使われます。
Neuromuscul Disord . 2013 Dec;23(12):1044-55.
必須基準
1.発症年齢>45歳
2.罹病期間>12か月
3.血清CKが正常上限の15倍を超えない
臨床基準
1.膝関節伸展筋力低下>股関節屈曲筋力低下
2.手指屈曲筋力低下>肩関節外転筋力低下
病理学的基準
1.筋内鞘への炎症細胞浸潤
2.縁取り空胞
3.筋線維内の異常蛋白(アミロイド、p62、SMI-31、TDP-43)蓄積or 電子顕微鏡での15〜18 nm のフィラメント状封入体
4.MHCクラス1の発現亢進
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分類カテゴリー
Clinico-pathologically defined IBM
必須基準+臨床基準1つ以上+病理学的基準の1〜3を満たす
Clinically defined IBM
必須基準+すべての臨床基準+病理学的基準1つ以上を満たす
Probable IBM
必須基準+臨床基準1つ以上+病理学的基準1つ以上を満たす
これは感度が高いということも確認されています。
Neurology . 2014 Jul 29;83(5):426-33.
日本では難病情報センターの診断基準が使われています。
筋生検の施行が必須です。
臨床的特徴
a. 他の部位に比し大腿四頭筋又は手指屈筋(特に深指屈筋)が侵される進行性の筋力低下及び筋萎縮
b. 筋力低下は数か月以上の経過で緩徐に進行する
多くは発症後5年前後で日常生活に支障を来す
数週間で歩行不能などの急性経過はとらない
c. 発症年齢は40歳以上
d. 安静時の血清CK値は2000 IU/Lを越えない
参考所見
嚥下障害あり
針筋電図で随意収縮時の早期動員(急速動員)、線維自発電位/陽性鋭波/(複合反復放電)
の存在などの筋原性変化
※高振幅長持続時間多相性の神経原性を思わせる運動単位電位が高頻度にみられることに注意
筋生検所見:筋内鞘への単核球浸潤を伴い以下いずれかを認める
a. 縁取り空胞を伴う筋線維
b. 非壊死線維への単核球の侵入や単核球による包囲
参考所見
筋線維の壊死・再生
免疫染色が可能なら非壊死線維への単核細胞浸潤は主にCD8陽性T細胞
形態学的に正常な筋線維における MHC classI発現
筋線維内のユビキチン陽性封入体とアミロイド沈着
COX染色陰性の筋線維:年齢に比して高頻度
(電子顕微鏡にて)核や細胞質における16〜20mmのフィラメント状封入体の存在
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Definite:臨床的特徴のa〜d + 筋生検所見のa・bの全てが該当
Probable:臨床的特徴のa〜d + 筋生検所見のa・bのいずれか5項目が該当
Possible:臨床的特徴のa〜dのみ該当
更にさらにNT5C1a抗体(IgG、IgA、IgM)が発見されて
Ann Neurol . 2013 Mar;73(3):408-18.
今までよりもより診断しやすくなってきました。
このためIBMはさらにお目にかかる機会が増えると思います。
頭に入れておきたい疾患です。
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