意外と単位とは何ぞやという定義のところを
知っている先生は多くはありません。
インスリン製剤は重量やモル数などではなく
生物学的力価である単位で表現されています。
この背景としてインスリン製剤は当初
多数の動物膵臓から抽出・精製されていました。
当時の技術では純度が安定せず効果が不安定でした。
このため一般的な薬の量を表現する方法である
重量を決めることができませんでした。
そのためインスリン発見者であるFrederick Banting、Charles Bestらが
ウサギにインスリンを注射した時に
血糖値が45mg/dL以下に下がり低血糖の痙攣を起こす
最少量のインスリンを1単位と定義しました。
その後1923年に国際連盟保健機構の標準化委員会で、
インスリンの1単位(unit、U)は
健康な体重約 2Kg のウサギを24時間絶食状態にし、
そのウサギにインスリンを注射して、
3時間以内に痙攣を起こすレベル(血糖値約45mg/dL)まで
血糖値を下げ得る最小量と定義されました。
1924年世界の5ヶ所の施設からインスリン粉末が集められ、
それらを混合して約100 mg に小分けして戻し、
5ヶ所の施設においてウサギ血糖降下法で検定をした結果、
1 mg当たり8.4〜8.8単位の力価があったことから、
1925年に乾燥粉末1 mg を 8 単位と定義し直されました。
その後精製技術の進歩によって
1935年に1 mg当たり22単位、
1952年に1 mg当たり24.5単位、
1958年に1 mg当たり24 単位と変遷しています。
更にインスリンの精製技術が格段に進歩し
純度の高い製品が得られるようになってからは、
1987年にブタ、ウシ、ヒトについて個々に国際標準品が作られました。
ブタとヒトのインスリン標準品では1 mg 当たり26単位、
ウシのインスリンは1 mg 当たり25.7 単位とされました。
技術の進歩ってすごいです。
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